頭の中で
浮かび上がる
物語は
いかにも
陳腐だ。
空想で
出来上がった世界は
リアルさの欠片もない。
でも
僕たちは
ストーリーを
紡ぐことを
静止できない。
自分を理解する術を
それしか
持ち合わせていないからだ。
連続する時間は
わずかな
振動をおこし
自己の目覚めを
待つ。
美しいという
概念は
もはや
過去の遺物に
成り果てる。
醜さ、醜悪さ、歪さが
世界を覆う。
悪が放つ
シグナルを受信した者だけが
強者になりうる社会に
なにを
望めば
いいのか。
正しさを
説こうなんて
思っていない。
無機質な感情が
行き場をなくす。
もし
愛について
あなたが
知りたいというならば
僕は
風に吹かれればいいと言うだろう。
思い出の中に
存在する
丘に登り
鼻歌まじりで
立ち上がる時を
待つ。
それから
君の旅が
始まる。