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詩的表現

シグナル

頭の中で

浮かび上がる

物語は

いかにも

陳腐だ。

空想で

出来上がった世界は

リアルさの欠片もない。

でも

僕たちは

ストーリーを

紡ぐことを

静止できない。

自分を理解する術を

それしか

持ち合わせていないからだ。

連続する時間は

わずかな

振動をおこし

自己の目覚めを

待つ。

美しいという

概念は

もはや

過去の遺物に

成り果てる。

醜さ、醜悪さ、歪さが

世界を覆う。

悪が放つ

シグナルを受信した者だけが

強者になりうる社会に

なにを

望めば

いいのか。

正しさを

説こうなんて

思っていない。

無機質な感情が

行き場をなくす。

もし

愛について

あなたが

知りたいというならば

僕は

風に吹かれればいいと言うだろう。

思い出の中に

存在する

丘に登り

鼻歌まじりで

立ち上がる時を

待つ。

それから

君の旅が

始まる。

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詩的表現

オルタナティヴ

いつまでも

そこで

幻想に

つかっていてばいい。

けれど

現実は

刻一刻と

進んでいく。

この先

何十年後の

国の姿を

予測できる者など

存在しない。

でも

ずっと

経済が

成長していくというのは

妄想だ。

だから

僕は

オルタナティヴを模索していく。

企業に守られて

いい思いをする

人間の数は

限られてくるんだから

競争に勝たなくちゃいけない。

だから

勝ちのぼる

努力をしないやつは

底辺で

貧乏暮らしを

していればいい。

資本主義の波にのることが

たったひとつの正解なんだから。

そう考えている奴は

別に好きにすればいい。

好きなだけ

儲ければいい。

自分が生きている時間だけ

思い通りになればいい。

その先のことなんて、

お前らが自分で考えろよ。

そんなんで

いい国になるはずなんてない。

いつから

僕らは

「知性」を

捨ててしまったんだろうか。

もう

なにも考えない大衆の

一人になるのは

ごめんだ。

だから

声を上げろ。

腐りきった世界に

希望を見出せ。

絶望に

負けるな。

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詩的表現

サクリファイス

声にならない

想いがある。

それは、誰かに届けばいい。

けれど、現実は、伝わらない。

人知れず、頬をつたう涙が、

今を生きる空虚を

物語っているみたいだ。

あなたが

知らぬうちに手に入れている

権力や、権威が

いつも、怖かった。

そんなことは、つゆしらず

平然と

この社会の階級を

のぼっていく。

もう、たくさんだ。

勝ち目のないレースに

参加し続けなければならない過酷さを

思い知ればいい。

僕は、サクリファイスなのかもしれない。

もう、すべてに意味を

見出そうとするのは

やめよう。

自己肯定を

無惨に奪っていく

あなたが憎い。

底知れぬ不安は

今日も

夜の闇に消えていく。

この世界が

いつまでも変わらないのは

抑圧された人間なんて

存在しないと思われてるからだよ。

その方が

都合がいいのね。

ただ、ただ

語られぬ

文字にならない

意識の総体が

つもっていく。

今夜は

それを燃やす祭典だ。

だから、ひとときの間、

猶予を贈答する。

眠れない

きみに向けて。

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すべて

人生が楽しくなる

一歩、手前が

本当の幸せなのかもしれない。

移り変わっていくのが

常だ。

一度、幸福なんてものに

慣れてしまえば

後は、ただ惰性の日々が

続いていく。

頭の中を

とめどなく、流れる思考が

爆発する。

なにもかもが

消費されていく。

変わりは

いくらでも

きくのだから

お前なんて

必要ないという

批判だけが

はっきり聞こえる。

僕という人格を

他の誰かに生きて欲しい。

そのとき、初めて

理解がうまれるだろう。

だけど

そのときは、絶対に訪れない。

誰も他の人の、人生を

とって代われないからだ。

それが、この世界の、すべてだ。

あるだけの力で

生きていく。

嘘のない

かっこをつけない

不器用な

ありのままの自分で。

心地のいい夜風が

夏の終わりを告げる。

季節が、巡る。

ただ、それだけが、分かる。

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オンパレード

夢にでてくるあなたは、

いつも笑っている。

さも、これまでのケンカが

なかったかのように。

どうして、言葉は

躊躇なく

相手を、傷つけてしまうんだろう。

意味もなく

こぼれ落ちる、涙が

とても無様だった。

自分を理解して欲しいという

愚かな願望が

先走りしすぎて、

いつも空回りする。

かすり傷は、

しっかりと肌に残る。

ちっとも痛くもないのに。

ふとした瞬間に

思い出たちが

一斉にかけめぐる。

記憶のオンパレードは

僕が、今まで

しっかりと

深く、真摯に

生きてきたことを

教えてくれる。

それでも、

ここで歩みを止めることは

許されない。

命というものは、

ただ老いていくことにこそ

価値がある。

一方通行の人生に

祝杯をあげよう。

泣く場所を準備している

姑息な自分は、

いったいどこへ向かうんだろう。

悲しみのうえに成立している

「いま」だけが

全部を覆い尽くす。

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詩的表現

ヘゲモニー

近代という物語が、

バッドエンドに

向かうのなら

今を生きる者にとって

それほど、奇妙な探索はない。

幾重に重なる

複雑な、秩序構造。

なにかに依存していなければ

正常を保っていられない

僕たち。

ヘゲモニーを争ってきたこれまでから

作り上げられた

無意味なシステム。

そんなものを、

手放すことさえ

億劫になる。

いくらでも

修正はきくはずなのに、

現状維持を好む彼らは

たぶん、視界がぼやけているのだ。

美しい薔薇を目の前にして、

有害な物質は

排除しなければならないと

言わんばかりに

新しい価値観を

ぶっ壊す。

ただ、この社会で

同じように

生きたいだけなのに。

傾きかけた世界は、

今日も、

崩れかけた誰かを

支えるように

息をしている。

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タンジブルな夢

汗をかいて

守ろうとしている

平穏な日常。

たぶん、それは、いつか、くたばる日に

その価値が、

ありありと

浮かび上がってくる。

「尊厳」なんて、

たいそれた言葉じゃ

言い表せないけど、

それに、似た

確固たる、いつもここにいる

自分という、疎ましい存在。

ざらざらした現実と、対峙するときのみ

有効となる<私>は、

はやく消えてしまいたいと

いつも願う。

タンジブルな夢を

つかもうと、

翻弄する日々には、

嫌気がさす。

いっそのこと、世界が滅びてしまえばいいのに。

触れることのできる、君。

触感のない、空気と未来。

こぼれ落ちる砂粒みたいに、

そそくさと、波のなかに消えていく。

言葉に、正解なんて、たぶん、ない。

それでも、何かを発信しようと

志した、静かな夜。

あの日と同じように、

しめった夜風が、頬を通りすぎる。

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エンピリカル

理解できない他者がいる。

すぐ隣の楽園や、とても遠い地獄のなかに。

僕らの解釈はいったい、どこまで通じるのだろう。

起こった事実にたいして、

どんなふうに考えても、納得できないことがある。

理解の範疇を越えて、突き抜けて奇妙な物事は、

きっと世界のどこかに存在している。

もう、考えることを一旦やめにしないかと、

孤高の旅人が諭す。

思想や、哲学を好む者が、好き勝手に

言葉をばらまいていく。

そこには、なんの整合性もない。

せめて、エンピリカルな方法で、決着をつける覚悟が、必要だ。

話すことのなさに、迷ったなら、

過去に立ち戻るといい。

自然と、もといた場所に誘うように、

時間が道標となる。

君にも聞こえるだろう。

魂の浄化を待ちわびる、死者たちの叫びが。

その声を胸に抱きながら、闇に潜むあなたを待つ。

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詩的表現

すきま風

心にぽっかり空いた穴を塞ぐ、何かを探していた。

でも、それは最初から無理な探求だったんだろう。

いつから、その穴が存在していたかも、記憶してないんだから。

すべてに満たされた感情は、きっと誰しもが持ち得ていない。

欠けてしまったパーツは、二度と見つからない。

でも、それでいい。

すきま風がはいる余裕さえ、なくしてしまったら、

もう途方に暮れるしかない。

どこまでも不完全な僕らに

行くあてなんかない。

生まれきた命の責任なんて、とりようがない。

ただ、気付けば、不確かで、あやふやな自我がここにあった。

それが、どこからきて、どこへ向かうかなんて

説明しようがない。

もう僕を、暗闇の中へ押し込めるのは、やめにしてくれない。

見栄も、くだらない嘘も、つまらないプライドも、

ぜんぶ捨てる。

たぶん、最果てをみた者はいない。

死を再現できる人がいないように。

いつだって、黒い空は

星の光までも覆い尽くすことはない。

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詩的表現

狂気

真実なんて、ありやしない。

全ては泡のように消え去っていく。

僕には、聞こえる。

「お前なんて、いてもいなくても変わらない。いっそのこと消滅すればいい。」

それは、ただの病気だよと、あなたは言う。

医学的なカテゴライズで、安心しようとする、現代人。

それで、正気に戻れるなら、よしとしよう。

病と健康の境目にいる僕は、どこか冷静だった。

人間は最も愚かな生き物だと、賢者が語る。

だれもが、狂気のさたで、自分は正常だと思い込んでいる。

突然にやってくる虚無感は、

それぞれの命の無価値を証明する。

だから、なにも手に入れなくていい。

地位も、名声も、信用も、

手放してしまえ。

そこから、始まる人生がある。