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自分のこと

画餅に帰す

 夕日の映える横顔が、綺麗だと、相手に伝えたいと思った。だけど、会話の話題が、次々と変わる君の話し方に、合わせているうちに、僕は、もう、そんなことは、忘れさっていた。でも、それで、別に構わない。もし、本当に君の横顔が、美しいと口にしたところで、少しの間、沈黙が続いたあと、「ありがとう」といって、照れるのだろう。2人の関係性が、継続されるなら、機会は、いくらでもある。ただ、今回は、タイミングが悪かっただけなのだ。気持ちを、口にするのって、そんなもんなんだと思う。

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・虚しさ
 決して、恋愛が得意な方ではない。相手に素直に、気持ちを伝えるのって、気恥ずかしい。常に、相手が欲しい訳でもないから、一人でも、別にかまわない。むしろ、一人が気が楽だし、それはそれで、楽しいこともある。ただ、胸の奥にある孤独が、なぜか、虚しさの衝動を連れてくる。そんな感情を抱いて、生きるのは、悲しい。

・まず、すべきこと
 高校生のとき、インターネットカフェのパソコンで、「同性愛」というワードを、どきどきしながら、検索したことを覚えている。そのとき、行きついたサイトからは、中東あたりの国(何処かは忘れたんだけど)で、ゲイの青年が、絞首刑にされる動画が流れてきた。それを観て、人知れず涙を流した僕は、まだ幼かった。今は、よりインターネットの普及が進み、僕が観た悲観的な情報だけでなく、しっかりとした、学術的な知見に基づいた知識を、得ることができるようになっている(ように願いたい)。もし、LGBTの当事者として、語ることがあるとするならば、ゲイ・セクシャリティーを自覚し始める年頃の子に、メッセージを送ることが、先決だと、僕は思う。

・声明
 差別や偏見にまみれた、傲慢な考えをすり抜けて、必死に、生き抜いている大人がいることを、話さなければならない。そして、気の合うパートナーができたり、愛撫を重ねたセックスをするようになることを、教えなければならない。もちろん、それが、好奇な目で見られることが想像できようとも、したたかに、愛を確かめなければならない。それが、人生は、生温いことばかりじゃないことを知っている、あなたに送る、声明である。

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 マイノリティーを含む全ての人々の人権の尊重は、ぼくらの基本理念であったはずだ。でも、それは、画餅に帰している。世界を取り囲もうとしている、拝外主義の波は、いつも少数者を、痛めつけることになる。それをしらず、のうのうと、さも自分が、まったくもって正しいと、無知をさらけ出す横柄な言論は、控えるべきだ。僕は、そう思う。

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社会の出来事

誤謬

 空白の時間が、孤独という怪物を、呼び覚ましていく。自分の死に、一体どれだけの意味があるのかを、問い続ける日々は、空虚に等しい。最終的に、国家や宗教や社会に、死の意味付けを、求めるようになれば、僕らは簡単に、偽物の思想に、身を滅ぼすことになる。結局は、最期の瞬間まで、僕は僕でいたいという欲求が、収まることはないのだ。

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・言論の自由
 新潮45の休刊という報せを、ネットニュースで知る。小川榮太郎氏が寄稿した論文の内容を受けて、炎上した責任をとるという形らしい。炎上商法に乗っかるにみたいで、雑誌は買ってないし、記事の内容も、しっかりとみてないけど、どうやら、中身は、杉田水脈氏の論文を、擁護する立場なのだ。言論の自由は、あっていいと思う。でも、だからといって、何を発言してもいいわけじゃない。文章を書く人なら、分かると思うんだけど、自分が綴る文字たちが、どんな人に届いて、どんな作用を引き起こすのかに、それはそれは、繊細な努力を積み重ねている。

・最低限の気遣い
 思考のプロセスを、提供していると言ってもいい。変に、感情を逆なでするような言い回しを避けたり、他人を容赦なく傷つけるような言葉を、使わないようにしようとする試みが、阿呆らしくなる彼の文章の内容は、マジョリティーの横柄さが、にじみ出ている。そんな気がする。読者の顔色をうかがうような文章を書けと、いっているんじゃない。どうしてもっと、最低限の、他者を気遣う態度を、示すことができなかったのかが、僕は、問いたいのだ。

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 風が、いつもより強く吹いている。かと思えば、ほんの数分後には、秋を思わせる、すこし生温い風が、僕の素肌を横切る。風のことについて、僕らが知っていることはわずかだ。それと同じように、古代史や癌や海底や宇宙やセックスについて、知らないことはいっぱいある。誤謬を犯したときでさえ、まばゆいばかりだ。「無知を恐れるな、偽りの知を恐れよ」と、ある賢者がいった。もう、傲慢な考えで、へこたれるのはこりごりだと、少し肌寒い気候が、慰めてくれる、そんな夜。