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思考

言葉の風

 季節が移り変わっていく。なぜか、泣きたくなる。どうして、そんなに我慢しているのと、色づく花や緑が語りけてくるみたいだからだ。春の息吹は、みなに平等に、優しさを振りまく。いびつにまとめられた、ひとつの世界は、今日も、何事もなかったかのように、閉じようとしている。そこで暮らす悲痛な叫びを無視して。なにかを変えたいという、ありきたりな衝動のまま、動け。その思いは、きっと誰かに届くだろう。

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・弱さという宇宙

 僕は、この社会にとって必要なのだろうかという不毛な問いが、頭をめぐる。役に立っていようが、無駄な人員であろうが、あるいは、意味があろうと、なかろうと、そんなことは気にしないで、存在し続けてやるという、ある種の強さが、求められている。ある作家は言った。弱さがキー・ポイントなのだと。消えてなくなってしまいたいのは、たぶん、その弱さが、あなたのなかで増幅していき、そこにはじめからあった宇宙のように居座ってしまっているからだ。抵抗しないで、その身を任せてしまえ。いずれ、黒の世界は、雲が霞みがかり、雨が降り、大地に命を吹き込むだろう。何億年も前に、地球ができたみたいに、あるいは、季節が循環していくリズムみたいに。

・虹色の線

 蛹(さなぎ)のときが、いちばん美しい。僕は、そう思っている。やがて、羽化し、成虫になるときを待つ、その状態は、エネルギーが、身体のなかに、充満している。はちきれそうな力は、誰かを傷つけるためではなく、あるいは、誰かを脅かそうとするためではなく、自然の一部として、己のほうへ消えていく。そして、美しい蝶になったあなたは、まだこの世界になかった儚い虹色の線を描くだろう。かつて、戦争があり、暴力がこの世を支配していた。散っていった命にたいして、僕らができるのは、ただ、死の気配が、まだなお充満する今に、たくさんの色鮮やかなラインを引き、平和へと誘うことなのだ。

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 時代は、変わったのだろうか。人々の考え方は、変わったのだろうか。多くの場合で、日常のふとした場面で、それぞれの考えをうやむやにして、表面上は、波風を立たせないように繕っているのが、現状じゃないだろうか。そして、もちろん、そのせいで我慢して、自由に生きれない人が、たくさんいる。そう思っているのは、決して一人じゃないし、声をあげて、変えようとしている人もいる。ここで、伝えなければいけないのは、この窮屈な社会で、びくともしない壁に囲まれて身動きのできないあなたの重荷が、軽くなる言葉だと思っている。なぜか、泣きたくなる春の日、風にのって、その思いが届きますように。

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