汗をかいて
守ろうとしている
平穏な日常。
たぶん、それは、いつか、くたばる日に
その価値が、
ありありと
浮かび上がってくる。
「尊厳」なんて、
たいそれた言葉じゃ
言い表せないけど、
それに、似た
確固たる、いつもここにいる
自分という、疎ましい存在。
ざらざらした現実と、対峙するときのみ
有効となる<私>は、
はやく消えてしまいたいと
いつも願う。
タンジブルな夢を
つかもうと、
翻弄する日々には、
嫌気がさす。
いっそのこと、世界が滅びてしまえばいいのに。
触れることのできる、君。
触感のない、空気と未来。
こぼれ落ちる砂粒みたいに、
そそくさと、波のなかに消えていく。
言葉に、正解なんて、たぶん、ない。
それでも、何かを発信しようと
志した、静かな夜。
あの日と同じように、
しめった夜風が、頬を通りすぎる。