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詩的表現

タンジブルな夢

汗をかいて

守ろうとしている

平穏な日常。

たぶん、それは、いつか、くたばる日に

その価値が、

ありありと

浮かび上がってくる。

「尊厳」なんて、

たいそれた言葉じゃ

言い表せないけど、

それに、似た

確固たる、いつもここにいる

自分という、疎ましい存在。

ざらざらした現実と、対峙するときのみ

有効となる<私>は、

はやく消えてしまいたいと

いつも願う。

タンジブルな夢を

つかもうと、

翻弄する日々には、

嫌気がさす。

いっそのこと、世界が滅びてしまえばいいのに。

触れることのできる、君。

触感のない、空気と未来。

こぼれ落ちる砂粒みたいに、

そそくさと、波のなかに消えていく。

言葉に、正解なんて、たぶん、ない。

それでも、何かを発信しようと

志した、静かな夜。

あの日と同じように、

しめった夜風が、頬を通りすぎる。

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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