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やむにやまないこと

 毎日、いろんな騒ぎが、あちこちで、繰り広げられている。まるで、世界が、根もとから、でんぐり返しを、しているみたいだ。ちょっとした見物だ。そういう現場を、見逃すのは、惜しくないのかと、誰かが言う。

 けれど、世界は、そんなに、簡単に、でんぐり返りなんかしない。でんぐり返るのは、人間の方である。そんなものを、見逃したところで、惜しくはない。都会で、持ち上がってることに、僕は、関心を持たない。今日、起きたことで、本当に興味があって、自分と、関係していることは、一体いくつあるんだろう。やむぬやまれなさがあって、伝えるべきことなんて、本当は、ものすごく少ないのかもしれないと思う。

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一般論と、個人的な話

 キー・ポイントは、弱さである。全ては、そこから始まっている。きっと、その弱さを、誰もが、理解できない。それは、体の中で、腐っていくものである。どれだけ、わかっていても、自分で、なおすことはできない。何かの拍子に、消えてしまうものでもない。道徳的な弱さ、意識の弱さ、そして、存在そのものの弱さ、いろいろなものが含まれている。そんなことを、言い出せば、弱くない人間なんて、いないのかもしれない。けれども、それは一般論である。一般論を、いくら並べても、人は、どこにも行けない。僕は、今、とても個人的な話をしている。

 だからこそ、僕は、ここではない、どこかに、行きたいのかもしれない。一人で、知らない土地を、歩きまわっていれば、少なくとも、その弱さが原因で、誰かに迷惑をかけずに済む。十代の半ばから、ずっと、それを、感じつづけていた。本当の弱さというものは、本当の強さと、同じくらい、稀なものである。たえまなく、暗闇にひきずりこまれていく、弱さというものが、実際に、世の中に、存在する。

 結局のところ、黒い影から、逃げきれないのも、その弱さのせいである。僕自身には、どうにもならなかったのである。けれども、生きることは、これからも、続いていく。やっかいなものを、抱え込んだまま、それと、うまく付き合っていく方法を考えなければいけない。それは、よく知られているように、難しい作業なのだ。影は、僕の体、記憶、弱さ、矛盾、全てを、好んで、求めてくる。影から逃れ、自分を保つことは、可能だろうか。