思考のリズムが、どことなく不均一で、ひとつの事実を、うまく、呑み込めないときがある。起きたばかりで、頭が、まだ、よく働かなかったし、それに、もし、頭がよく働いたとしても、僕のまわりで、起こりつつある様々な出来事の、ひとつひとつに、きちんとした意味を、与えていくことは、もうとっくに、僕の能力の範囲を、超えていた。要するに、物事を、流れのままに、まかせるしかないのである。
そんな時は、草原の真ん中に立って、まわりの風景を眺める。そして、いつも不思議な気持ちになる。緑以外、何も目に入らない景色は、何かしら、奇妙なものだったし、遠く離れた都会で、人々が、今も日常の営みをつづけているというのも、妙だった。何よりも、社会が、僕抜きでちゃんと動いているというのが、いちばん、奇妙だった。
中学生の時期を、通り抜けて、いつのまにか高校生、大学生になっていく。社会に出ると、いきなり、国家や、社会の一員としての、自分を、自覚することになる。学校のことで、手一杯だった、あの頃が懐かしく感じる。日本人としての自分の、空虚さ。国際的な視野に立った視点が、求められることが、多くなるけれども、小さな視点を中心として、許すことや、憐れむことを、忘れないでいたいと思う。