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自分のこと

空に群れをなす鳥たちは 

 みんなが、おのおの、自分の神様が、ほんとうの神様だと言う。けれども、お互い、他の神様を信じる人たちのしたことでも、涙がこぼれる。それから、僕たちは、心がいいとか、わるいとかの議論を始めるだろう。そして、勝負がつかないことを、知る。だって、答えなんて、そうそう、見つかるものじゃないから。

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・初恋
 結局、僕らは、ただの恋愛ごっこを、していたにすぎないのだと、過去を振り返って、思う。いつから、人を好きになったり、相手を、自分のものにしたいという欲求を、持ち始めたのか。たしか、初めて、同級生の男子に、恋心を抱いたのは、16歳だったと、記憶している。彼と一緒にいたいとか、もっと話をしたいと思うのは、ありきたりな、ただの友達としての感情だと、認識していた。けれど、そうではなく、何か分からないけど、もっとエモーショナルな情感だと、確信した瞬間があった。あの頃、僕は若かったというより、幼かった。その気持ちを、整理する術を持ち合わせているはずもない。

・抑圧
 言葉にできない情緒を抱いたまま、日々を過ごしていた。ときに、傷ついて、涙を流したり、どうしようもないくらいしょうもないことで、大声で笑ったり。それを、青春といえば、聞こえはいいけど、当時の僕からすれば、一日一日、生きのびるのが、精一杯だった。同性愛はタブーだという刷り込みは、しっかり、自分に、焼き付いていたし、異性愛を、強制的に押し付ける風潮に、抑圧されていた。

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 空に、きれいな直線を描いて、群れをなして飛ぶ鳥たちは、何かの号令を、かけられているみたい。それと同じように、人間も、良き母になれ、異性愛の望ましい対象となれ、適切な労働者となれって、だれかの要求に、応えるように、生きているようだ。ここ最近、僕らは、個人主義的な文化で生きているけれど、しっかりと権威への服従が、染み付いているのかもしれない。歳を重ねるごとに、強くなる生きづらさと、関係してるのかは、まだ分からない。