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思考

秘密の読書

 こどもの頃に、とても、お世話になったはずなのに、そんなことを忘れて、ひとりで、大人になったように、振る舞う自分が、嫌いだ。幼いときの記憶を、忘れてくのは、とても切ない。でも、時の流れは、大人になることを、止めようとはしない。けれど、どんなに多くの知識を学んでも、大人になる速さを、加速させることはない。

 本を読んで、物語のなかに身を置き、日常とは離れた、どこか違う世界に、連れて行ってくれるような、感覚が好きだ。いつも、どこかで、それを、期待している。一度、本を読む楽しさを、覚えると、強制的に、本を読むことを、止められても、どこかの森に、本を隠して、見つからないように、読書を楽しむ人が、集うだろう。本当に、不思議なことに、人は逆らえない。

 小さいとき、業績や、数字ばかりに、とらわれる大人を、不思議がっていた。夜の空に、浮かぶ星を見上げては、どこか、違う場所で、もう一人の自分が、なにげない顔をして、生活していると思っていた。今の年齢になって、そんなことを考えるのは滅法、減った。やっぱ大人になるって、なんか切ない。