心にぽっかり空いた穴を塞ぐ、何かを探していた。
でも、それは最初から無理な探求だったんだろう。
いつから、その穴が存在していたかも、記憶してないんだから。
すべてに満たされた感情は、きっと誰しもが持ち得ていない。
欠けてしまったパーツは、二度と見つからない。
でも、それでいい。
すきま風がはいる余裕さえ、なくしてしまったら、
もう途方に暮れるしかない。
どこまでも不完全な僕らに
行くあてなんかない。
生まれきた命の責任なんて、とりようがない。
ただ、気付けば、不確かで、あやふやな自我がここにあった。
それが、どこからきて、どこへ向かうかなんて
説明しようがない。
もう僕を、暗闇の中へ押し込めるのは、やめにしてくれない。
見栄も、くだらない嘘も、つまらないプライドも、
ぜんぶ捨てる。
たぶん、最果てをみた者はいない。
死を再現できる人がいないように。
いつだって、黒い空は
星の光までも覆い尽くすことはない。