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思考

それはそれとて、お前は自信をもて

 なにに対して、お金を払っているのかが、分からなくなる。きっと、ここでお金を使えば、こんな幸せが手に入る。そう思わせようとして、たくさんの広告で溢れる世界は薄汚いとさえ思う。その大半が錯覚なんじゃないだろうか。いわば、そこにお金を費やしても、全然楽しくないのである。誰も、お金について、おおっぴらに語ろうとしない。とても大事なはずなのに。だから、今回はお金について、話そう。

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・和菓子屋さんで、おはぎを買う

 僕は、よく近所の商店街にある和菓子屋さんに立ち寄る。そこで売っているおはぎは、絶品なのだ。(季節限定のいちご大福も、美味しい。)店頭にたつお母さんとの、二言三言の会話も楽しみにしている。一人暮らしをしている僕にとって、そのつながりは、社会との接点であり、お金の損得を抜きにした、捨てがたいものなのだ。資本主義の隙間にうまれた、小さなひずみは、この社会に核になりうる。美味しいお菓子と、孤独さえも吸い取ってしまう時間に対して、対価を払う。それは、お得そのものなのだ。

・経済とは生活のことである

 夜遅くに仕事が終わり、夕食をとれそうなお店の大半は閉まっていて、24時間営業のマクドナルドに足を運ぶ。レジに立っていたのは、和菓子屋さんのお母さんだった。僕は、なんとなく気まずくなる。そして、悲しくなった。たぶん、それは、手の込んだ和菓子を売るだけでは、生活できなくなってしまった社会への憤りだと思う。どこに行っても目に入るスターバックス、なんでも揃う大型ショッピングモール、保存料だらけの安価な商品を売るコンビニ。別に、それらが悪だと言っているわけではない。だけど、僕は、街の片隅でひっそり営む、体に害のないものを手間暇かけて作っているお店にお金を使いたいと思った。そのお金が、また、生活のなかに循環していく。その流れの正体が、経済なのだ。

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 自分で、稼いだお金を好きなように使う。その価値もわかる。当たり前にするその行為は、この社会をつくりだす全てになってしまったように感じる。例えば、病気や障がいで、働けない人もいる。いわば、お金とは、特定の人を排除してしまう側面を持ち合わせているのだ。(お金に困ってない人は、そんなこと考えないだろうけど)いわば、お金の使い方は、自分とは何者であるのかということと密接に関連している。

 だから、どこにお金を落とせば、みんなが幸せになれるのかを考えて欲しい。大きな資本を元手に、大企業らは、魅惑的なサービスを売ろうとしてくる。お前は、お金を持っていることにしか価値がないとでも言うように。でも、実際は違うだろ。僕が和菓子屋さんのお母さんとの会話で気付いたように、人とのつながりは、そんなんじゃない。自分の人生に価値がないと思っても、それはそれとて、お前は自信をもて。

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自分のこと

だから、生きろ

 あとどれくらい自分と向き合えば、僕は僕から解き放たれるんだろう。街を行き交う人は、えらくまっとうな振りをして、目的地に向かう。イヤホンから流れる音楽を防護服みたいにして、周りからの情報をシャットダウンし、徘徊する。そんな時に、唯一この世界を優しく感じることができる。

 他者に、正面から向き合うことは、ひどく疲弊することを、経験的に知っている。だから、お互い無関心を徹底し、知らない人に話しかけてはいけないというルールを頑なに守る。普通を装いながら、社会にとって異物のような自分を持て余す日常は、けっこう孤独なのだ。

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・読書とは

 いっそのこと、この孤独をより一層深めてくれることを求めて、本を読む。いちいち立ち止まって思考し、全然うまくいかない生活に辟易しているのは、僕が出来損ないだからだと思ってた。でも、どうやら同じように世界に居場所を見つけることができず、声をあげて戦ってきたきた人たちがいる。紙に並べられた文字は、ある一定の時間を経て、僕にそれを教えてくれる。言葉の力を垣間見る瞬間、この今というものが、まざまざと輝きだす。読書とは、人生がどんなものであるかを明確にする装置なのだ。

・人を傷つけることと愚かさについて

 例えば、僕は同性愛者だったりする。周囲とは違う性的指向を、ここで語ることについて、意味を深く考えたわけじゃない。でも、かつてそのことを理由に虐げられてきた人たちがおり、不条理な暴力に抵抗してきた。その歴史のどん詰まりにいる僕らは、いったいどんなことを思いながら、生きていけばいいのか。自分とは異なる存在を、疎ましく感じる。それは、それでいいだろう。僕だって同じだ。問題は、その感情に向き合いもせず、ずかずかと言葉にし、人を傷つけることを想像できない。それは、無知な愚かさのなにものでもない。僕は、そう思っている。

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 多様性であるとか、人権であるとか、時代であるとか。なにが変わっているのかが、僕には感じ取れない。崇高な理念や信条は、どこか聞こえのいいものばかりだ。現実に、いま、悲しみの淵に沈んでいる人間にたいして、どうやって声を届けるのか。ここで勇気づけることを言ってもいいけど、お前はそんな言葉で救済されるようなたまじゃない。複雑な社会は、お前がお前でいることを、頑なに歪めようとしてくる。強くなる必要はない。ただ、途切れない自分を確立していくしか、手数は残されていない。だから、生きろ。

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