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思考

残酷な地に降りたった、僕らは

 乾いた喉を、水で潤す。体に水分が、吸収されていくのが、なんとなく、分かる。頼んでもないのに、僕の体は、足りない分を、補い、不用なものを、排出する。その、なんだか、無機的な作用のおかげで、命を維持している。この肉体も、いつかは、朽ち果てるだろう。それまでは、生きようと、思う。

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・「なんか嫌だ」の、魔力
 突如として、現れる、他者への不快感。「なんか、この人、嫌だ。」だけど、それを、そのまま、相手に伝えると、傷つけてしまうから、口にださない。その一方で、ところかまわず、躊躇なく、どんなに、悲しい気持ちにさせようと、言葉にする人間がいる。あたかも、強力な魔力を、放つみたいに。べつに、なんでもいい。辛辣な言葉を浴びようと、へこたれない精神は、もう、すでにある。

・向かってはいけないところ
 もっとも、危険なのは、その相手を拒絶してしまう感情が、その人の処遇に、影響してしまうことだと、思う。障がい者は、なんとなく、ヘンテコだから、社会の片隅に生きていてほしい。同性愛者は、気持ち悪いから、周りに居て欲しくない。外国人は、なんだか、怖いから、日本に住まないでほしい。そして、もう分かっているように、その思想が、最大方向のベクトルに踏み切ったとき、この人は不快だから、死んでほしいになる。

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 まるで、この世界は、狩られる側と、狩る側に、分断されたみたいだ。残酷な地に降りたった僕らは、共に、生きていこうと、一応は、なっている。多様性とか、共生とか、共感という概念が、流行っているように。そこに、相手の立場に立って、考えるという複雑性が、立ちはだかる。
 それは、元来、人間に備わっている能力なのか。訓練することで、育むことができるスキルなのか。あるいは、そんなこと、はなっから、不可能なのか。どちらにしろ、自分だけが、幸福であればいいという裏に潜む、罪悪感は、消えそうにない。

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思考

ここに、愛はなくても

 抑圧という、言葉は、何を、意味しているのか。どうやら、それは、意識的に、感知するのは、不可能であるらしい。僕らは、知らぬ間に、押し込められて、それでも、なにひとつ、不完全なことなどないような顔をしている。だから、自由の解放の歌が、聞こえてきても、すべて、聞き流してしまう。気付かないだけで、ジェンダーロールや、既存の価値観によって、がんじがらめに、縛られている。

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・欲望の果て
 どんな望みも、叶えなければ、意味がないと、勘違いをしている。願望なんてものは、飼い慣らしてしまえば、知らぬ間に、しぼんでいく。時間が、経過すれば、そんな欲は、はじめから、存在しないように、消えていく。欲望を、満たしてしまった後のことを、恐れている。もう、僕には、なにかを満たしたという希望は、湧いてこないんじゃないか。そんな、心配も、徒労におわる。少し経てば、すぐに、次の欲求が湧いてくる僕らは、少し醜いとさえ思う。

・友人の話、あるいは功利主義からの脱却
 絶えず、腹が減る。ここで、特別養護老人ホームで働いている友人の話を、思い出す。亡くなる直前は、ご飯を口にしなくなる利用者が、いるという。それは、死の準備をしているようだと、語る。幸福の効用を最大化することが、善とする功利主義の立場からは、空腹という不快は、払拭しなければならない。だけど、死期を悟った老人は、それを、放置する。いわば、せせこましいルールから脱却を、実現している。

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 最終的に、僕らは、なにを、求めていくんだろう。たとえば、それが、愛だったりするならば、その愛という言葉の定義を、もっと具体的にしていくべきじゃないか。ロマンも、へったくれもない話だ。いまのところ、その作業は、難航している。だけど、それでいい。時間は、じゅうにぶんにある。いまだ、ここに、愛がなくても。

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