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詩的表現

テレオノミー

僕たちは

何に

魅せられて

この時代を

生きているんだろう。

「自由」であることの、意味。

束縛されず

思うがままに

なすことを

望んでいる人間を

見たことがない。

独裁者に

喜んで

服従していく

民衆。

テレオノミーからの

脱却を試みて

気付く

「自由」の不自由性。

人生の目標を

見失ったときに

訪れる

不安。

敷かれたレールを

従順に

なぞる日常。

宙に浮いた

自我が

寂しく

泣いている。

目的が

ないことを

恐れるな。

ただ、生きる。

それが、望みだ。

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ちっぽけな抵抗

今の

考え方が

確立するまでに

どれくらい

時間が

かかったんだろう。

男女平等、

基本的人権の尊重、

多様な性、

たぶん

少しずつ

変わり始めている。

誰にとっても

生きやすい

社会になればいいという

平坦な希望を

絶やしては

いけない。

それでも

僕らの

人生は

明るいことばかりじゃない。

苦しい時だってある。

泣きたい時もある。

日によって

なにもかもが

違ってみえる。

結局

個人で

成せるべきことなんて

しれている。

だから

これまでの

歴史の流れに

身を任せることも

ときに

必要かもしれない。

野蛮なことは減っただろう。

迫害を受けていた人間が

尊厳を取り戻す。

それでも

革命が

必要だと

あなたが

言うならば

手を貸そう。

権力に立ち向かうことは

生易しいことじゃない。

自己責任の

呪縛が

のしかかる。

「お前が

苦労しているのは

すべて

自分のせいである。」

まるで

この世界は

平等になりたっているかのように諭す

大きな体制側の言い分に

抵抗する。

不条理な現実に

慣れてしまう。

そんな民衆は

都合が

いい。

だけど

あなたは

違う。

間違っていることには

声をあげることができる。

それが

たとえ

小さな波風を

たてることしか

できなくても。

それは

きっと

だれかに

届く。

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纏綿

共感も

理解も

承認も

全て

得ようとする

愚か者たち。

客観的に

自己を

捉えようとしている

僕も

しょせん

おなじ

穴の狢だ。

愛されたい衝動、

認められたい欲求、

すべてが

醜い。

弱虫な自分は

声を出すことさえ

ままならない。

世界が

歪んでいく。

ピントが

ずれていく。

物事の

本質を

捉えろ。

大人たちは

いつも

重要なことを

ぼかそうとする。

本当は

もう

答えを

手にしている

はずなのに。

誰かを

特別に

思う

感情。

それが

この世で

いちばん

くだらないものだと

勘違いしていた。

それに

気付かせてくれたのは

他ならぬ

あなただ。

鼓動が

時を

刻んでいく。

意味のない言葉を

並べていく。

纏綿している

イメージを

塗り替えていく。

特に

なにかを

成し遂げようと

しなくても

社会は

何事もなく

まわっていく。

生まれた

意味を

考えてしまう。

雑踏に

まぎれながら

仕事に行く。

いつか

やってくる

「無」への招待。

それを

待ちつつ、

上辺だけの

笑顔を

備えて

つまらない社会で

生きていく。

よりよい世界に

変えていくという

青臭い

野望を

心に

しまい込んで。

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思惟の海面

積み重ねられていく

いくつもの

嘘。

どうして

幸せなふりを

演じてしまうんだろう。

自分が

なりたい

自分は

決して

そこには

いないのに。

他人に

どう見られているかなんて

どうでもいい。

けれど

いつのまにか

見栄っ張りが

顔をだす。

あなたとの

距離を

縮めたい。

奥底に

眠る

本当の

目的を

思い出す。

次から次へと

口から

こぼれる

数々の

綺麗ごと。

だって

本当のことを

言ってしまえば

嫌われる。

思惟の海面に

浮かぶ

僕は

しどろもどろだ。

ほんとに

クソみたいな

ことばかりだな。

暗いやつだと

思われたくないから

本心を隠す。

ここで

真面目な

話をしたって

しらけるだけだ。

それでも

言葉を

紡ぐことは

やめないでおこう。

今日も

人知れず

傷ついた心を

独りで

癒そうとする

あなたに

魔法をかける。

夜空に

浮かぶ

星屑が

降る日、

音もなく

静寂に

包まれた

世界で

眠りにつく。

スマホの画面から

漏れる

白い光が

急に

現実を

連れてくる。

たぶん

いつもと

同じように

朝が来る。

新しい

なにかに

期待している

心持ちは

そんなに

悪くない。

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ディシプリン

考えすぎてしまう

癖が

行く手を阻む。

浮かんでは

消えていく

表出しなかった

言葉たち。

でも

それで

よかった。

意図せず

誰かを

傷つけて

しまうよりは。

心ない

コメントが

溢れかえる

現代で

僕らは

いったい

誰の声を

信じたらいいんだろう。

大人でさえ

手探りでしか

進めない。

幸せとは

何なのかを

つかみきれていない。

そもそも

万人にとっての

幸福なんて

実在するんだろうか。

価値観が

多様化していく。

環境も

考え方も

思想も

異なる人間が

分かりあうことなんて

はなっから

無理があったと

識者が言う。

ディシプリンの出現が

個人を管理しようとする。

支配したがりの

権力者の

醜い欲望に

やりをたてろ。

民衆が

主役だという

スローガンが

虚しく

聞こえる。

弱者を

切り捨てながら

私腹を

肥やそうとする

やり方が

尊厳を

奪っていく。

なにもかも

くだらない。

だから

僕は

ここにある

大切なものだけを

守ることにした。

それが

いつか

あなたに

届くことを

祈る。

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リミッター

不完全な

部分を

見せるのが

怖かった。

本当の

自分を

さらけ出した瞬間に

向けられる言葉を

想像する。

弱い存在であること、

無能であること、

役にたたないこと、

自信がないこと、

そんな人間は

きっと

誰からも

必要とされないんだと

思ってた。

価値を決めるのは、

自分ではなく

他者である。

もっともらしい言葉が

とても

陳腐に

見える。

あの日を堺に

僕を

無視し続ける社会で

生きることを

決めた。

というより

それ以外に

道はない。

僕だって

大人になる。

働いたりする。

稼いだお金で

腹を満たしたりする。

理性と感情の狭間で

振り切りそうな

リミッターを

制御することに

疲弊する。

いっそのこと

死に帰結する

思考が

よぎる。

誰かを

傷つけても

構わないと

無邪気に

振るまう

自分が

恐ろしい。

手足の震えが

伝染する。

路上に立つ

ミュージシャンの歌声を

食い入るように

聞いていた。

お前は

無価値であるという声に

抗う。

生きるとは

そういうことだ。

僕は

今日も

あの灯台に登り

風に吹かれる。

少し湿った空気を

おもいっきり

吸い込んで

呼吸をする。

いつもと同じように。

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リアルワールド

いつか

僕らの

社会は

目を背けたくなるような

光景で

覆われてしまうんじゃないだろうか。

予想だにしない

出来事が

次々と

巻き起こる。

そのことを

実は

誰しもが

気付いている。

不安な

未来にたいして

準備をしておくことで

精一杯だ。

裏切られた希望を

持て余す。

リアルワールド(現実社会)は

たいてい

幻滅することが

ほとんどだ。

いっさい

光が

届かない

場所で

なにかを待つ。

親の期待、

それにそぐわない自分、

搾取される労働者、

取り繕われた正義、

むせ返るような

黒煙が

正気を

かき乱す。

行き場のない

亡霊たちは

うめき声を

あげる。

不健康な

精神が

誰かを

傷つけてしまう前に

ここを出よう。

くだらない常識を

蹴り飛ばして

旅にでる。

まだ

冒険は

始まったばかりだ。

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エクリチュール

僕。

私。

俺。

いくつかの

一人称のなかから

選択することを

余儀なくされる。

その過程を

だれかに

伝えることはできない。

僕の中で

繰り返される

自問自答。

自分は

いったい

何者なんだろう。

知らぬ間に

既存の

ルールに

縛られている。

エクリチュールに

乗っ取って

書かれる

文書は

すでに

社会との関係が

基本にある。

探していた

答えは

宇宙に

吸い込まれてしまった。

見知らぬ人の

命が、途切れたことを

報せるニュース。

どうして

死んだのが

その人で

僕じゃなかったんだろう。

とりあえず

まだ、生きている。

逆境に

立ち向かう

強さなんて

ない。

だけど

できるだけ

真摯にありたいと

思う。

生きることに

たいして。

朝焼けの光が

カーテンの隙間から

顔をのぞかせている。

昨日の

雨は

あがったみたいだ。

もう

ときめきを

止めることは

できない。

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レトロニム

もう何もしたくない。

本心を言えば

そうだ。

心情を

吐露することでさえ

無意識に

避けてしまう。

こうあるべきだという

模範が

たまらなく

ばかばかしい。

僕の思考を

がんじがらめに

縛り付ける

常識や規範。

もう

そんなものは

はじめから

なかったかのように

自由になろう。

してはいけないことなんて

なにもない。

人の行き来を阻む

国境なんて

存在しない。

世界を

放浪する

旅人の

足をとめる

権利が

いったい

誰に

あるんだろう。

あなたの

信じる

神は

してはいけないことを

決める。

信仰を

とめることはできない

人間の

あるべき姿を

示せる人なんて

存在しない。

だから

自分の

価値観を

押し付ける

行為が

もっとも

浅ましいことに

はやく

気づけ。

今日も

何処かで

レトロニウムが

生み出される。

新しい概念が

古いものを

更新していく。

未来を考える

時間もなく

あっというまに

過ぎ去る日常。

不器用すぎる

あなたは

ただ

生きるのが

下手なのだ。

この僕と同じように。

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エクレクティシズム

もはや

僕らを

区別するのは

「男」という言葉ではないし

まして

「女」であることではない。

訳が分からないと

あなたは思うだろう。

でも

はたして

今まで

自分とは何者かを

はっきりと

定義できたことが

あるだろうか。

ただ男というストーリーを

あるいは

女という物語を

歩んできたにすぎない。

そこには

もちろん

男尊女卑が

含まれている。

無意識のなかに

たしかに存在する

刷り込まれた

世界観。

ただ

ひとりの人間であることが

証明できればいい。

それさえも

危うい世界では

人権なんて

言葉が

かすんで見える。

国や時代を越えて

エクレクティシズムな思考を

もてたらいいのに。

ほんとうに

真っ正面から

議論すべきことを

後回しにする。

なにか起こらないと

問題にしない。

誠実に

生きている人間を

追いつめる。

他人への親切を

あざ笑う。

歪んでいく世界を

横目に

淡々と

日々が過ぎていく。

自分という存在を

消し去るように

外には

無限に

空間が

広がっている。

最果てまで

いってしまいそうな

あなたを

呼び止める

力は

僕には

ない。

だから

せめて

今日だけは

抱きしめあおう。

肌寒い

冬の季節が

そう言っている。