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思考

渦を巻く貝殻

 いま、僕が、世界を感じているふうなこととは、まったく違うように、だれかがこの世界を、感じている。どうせ、お互いが分かりあうなんてことは、できないのだからと、平行線をたどる。結局は、生き方の対立だから、そこに正解はない。それなのに、どうして、こんなにも、他者を必要とする、自分がいるんだろう。くそみたいな社会に、怒りを覚えると同時に、そこでしか生きられないことが、重く、のしかかってくる。

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・くだらないこと
 たとえば、女性が、性について、オープンに語ることを、よろしくないという風潮があるとする。そのルールを世界が、黙認している。だから、革命を起こそう。だけど、空っぽ頭の男は、こう言うだろう。「それなら、俺とセックスをしよう。」それを、先読みしているから、私達は、声を上げることができない。言いたいことを、心に押さえつけて、抑圧されながら、過ごす日々を、もう、終わらせよう。
 だから、あなたは、こう言うべきだ。あるいは、アダルトビデオにでてくる女性たちの、快楽に浸る姿は、女性の、一部分かもしれない。だけど、その一面をみせる相手は、お前ではない。お互いを、尊重できること、対等に、向き合えること、そんなあたり前のことが成立したうえで、関係は、保たれる。女性は、ただの性欲のはけ口ではない。都合のいい存在でもない。自分の意見を言うことを、ためらわなければならない瞬間は、とてつもなく、くだらない。

・深海に沈むもの
 僕は、社会というものは、生きやすいように、変えていかなければならないと、心底、考えてきた。だけど、全員が、そう思っているわけではないんだなと、最近、知った。現状を維持しようとする人が、一定数いる。少なくとも、それに、異議を唱える行為を、ないがしろにしたくない。男性が、持っている特権や、マジョリティーが決めた規範が、支配する世界に、抵抗する。
 いつからか、つねに、なにかしらの答えを、探しているような気がする。不安や、孤独から、解き放たれた人間は、次に何を望むんだろう。これまで、見つけてきた解答が、邪魔になる。だから、それを、捨てる。そして、また彷徨う。その繰り返しのうちに、人生は幕を、おろす。それならば、自由という、途方もない、宇宙の果てみたいな、不確かなものは、いっそのこと、深海に沈めばいい。

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 気付けば、思考の渦に、いる。中心に向かって、強い流れのまま、勢いを増して、突き進むそれは、まるで、螺旋状の貝殻だ。そこで、息をするのは、困難を極める。僕は、こらえるように、そこに、自分の意志で、居続けること選択する。そのとき、考えなければいけないことなのかは、分からない。でも、たしかに、僕の頭の中で、めぐる、戯言は、こうして、ひとつの形になって、発信される。問題意識や、社会への関心を、失いたくない。なんだかんだいって、この世界が、好きなんだ。

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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