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思考

心の違い

 人間の性質を、まざまざと浮き彫りにする歴史は、もうだれにも目に触れない海の奥底に沈んでしまったかのように、ひからびてしまう。人と人が争い、殺し合いまでしてきた末に、訪れた平和の意味を、置き去りにし、相も変わらず、自分だけが幸せになろうとする。

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・アナキズム
 権力や権威自体が、悪いことではない。国単位の大きなものを統治するには、それが必要になるんだろう。この世界が、不条理であふれ、不公平に扱われることを、僕らは肌で、感じている。アナキズムに傾き、革命を志し、失敗を重ねたのは、けっして意味のないものではない。問題は、公人であるはずの彼らが、大衆の私財を奪うことだけに、集中していることだと思う。それも、少数の蓄えがある人ではなく、切り詰めて生活する、一般市民から、搾取しようとする。

・糊塗し続ける僕らの行く先
 社会福祉が行き届いて、老後も安心して暮らしていける国にしたいと、切に願っている。良いことをしていく、というシンプルな方針を、疎かにし、いかに税を絞りとるかに躍起になる。お金は、湧いて、でてこない。僕にだって、分かる。それでも、失敗を糊塗し続ける先に待ち受けているのは、絶望でしかない。それを、予期しているのは、けっして、保身に走る、頭のよい政治家だけではない。みんなが、わかっている。だけど、必死になって、平穏な日常を守ろうとしている。その努力を踏みにじるな。それを、僕は言いたい。

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 一度でも戦争によって、人生をないがしろにされた者と、生まれてから、ずっと自由を保持してきた者との間にある溝は、埋まらない。同じ姿、形をした人間でも、その中身は、まるで別物のように存在している気がする。それを「心の違い」と言葉で片付けることは、簡単かもしれない。どの時代に生まれてきたか、どの身分に属していたのか、どんな社会環境だったのか、まるで異なる空気を吸っているヒトを、同じ生き物だとするならば、それは横暴ではないだろうか。”平等”という概念がうまれてから、もういくぶん、時は経つ。
 資本主義が、行き詰まり始めたのは、別に、今に始まったことではない。商品を、いかにコストを抑えて、できるだけ多く生産できるか、それに踊らされて、とくに吟味することなく、手当たり次第消費する客、そして、余ったものを大量に廃棄する社会は、もう無理がある。豊かになることは、本質的に、先に期待できない制度を、維持することではない。少しづつ変わり始めた先に待つのは、どんな社会か。それを見定める作業が、必要だと思う。

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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