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社会の出来事

時間を持たない天使

 連日、世間を賑わすゴシップが、僕の感覚を、鈍らせる。議論すべき大切なことのようで、よくよく考えてみれば、そんなに長く時間をかけてやるネタでも、ないんじゃないと、ふと気付いてしまえば、テレビは、あっさりと、必要のない粗大ゴミに変化する。誰かの不幸をもてはやしたり、失敗してしまった人を、くだらない正義感をたてにして、批判を繰り返す民衆は、愚かだ。なのに、マスメディアによって、今日も、かたよった世論が、形成されていく。僕は、聴衆の感情的な感性を利用した重苦しい、まとわりつくようなお昼の情報番組が、嫌い。

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・感情の種類
 勝間和代氏が、同性愛をカミングアウトしたニュースを、インターネットで目にする。きっとその瞬間、僕と同じように、その報せをみた人が、大勢いたはずだ。僕が、注目したいのは、そのとき芽生える感情の種類だ。きっと、気持ち悪い、そんな話聞きたくないよと感じた人は、一定数いると思う。もちろん、他人を、拒絶する権利はある。問題は、同性愛に免疫のない人が多数派で、それが、正しいと思い込んでいることだ。

・可視化
 守るべき立場も、失うものもない僕が、カミングアウトするのとは、違う。彼女の決断は、勇気のいることだと思う。当事者たちの苦労や孤独を溶かすことができればと、願う。この流れを、大事にしたい。これから、身近にLGBTがいることが広まって、可視化が、どんどん進むと、僕は考えている。それに伴い、いい面もあるだろうし、悪い面もある。もちろん。日本は、まだまだ当事者たちの権利において、後進国だときくし、社会が、変わっていくのは好ましい。もちろん、どう変わっていくかが、大事だけど。

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 いつまでも、時間という概念に縛られている。消し去ることはできない過去から、目を背けることは、時間を持たない天使になろうとすることに、近い。そうじゃなくて、僕らに、必要なことは、天使になろうとせず、人間の地位にとどまり、過去と和解しようと努力する姿勢だ。そこから、未来への階段が開ける気がする。

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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