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自分のこと

風が、愛を運ぶ

 欲望に、忠実に生きる。なんで、そんな簡単なことが、できないんだろう。世の中には、いとも容易く、願望を満たす方法が、転がっているというのに。だけど、僕は、思う。それは、安い幻に、騙されているんじゃないか。こうすれば、あなたは満たされますという、うたい文句を片手に、お金を、得ようとする。それは、まさしく、資本主義という感じだ。

・人間らしさとは
 あいつらは、馬鹿だから、こうすれば、コントロールできる。いつも、おなじ風景をみている気がする。人が、人を支配する。自分は、特別な存在だと、勘違いする愚かさも、どうせ、なにやっても、うまくいかないんだからと諦めて、成熟を拒む単純さも、嫌になる。人間的に、なりたければ、ただ、怠惰になればいい。発信したい言葉を、紡ぎ、自分の生きたい物語のなかに、身を置く。どうせ、僕らが、考えなければいけないことの、大半は、すでに、語り尽くされている。

・孤独に寄り添う
 10代でおきる、性の揺らぎは、まるで、異世界の話のように、置き去りにされる。どうやら、僕は、私は、男であったり、女であったりするらしい。そして、他者の身体に対して、欲情したり、抑えきれないエロスを、見出したりする。淫らになることを、恐れ、その反動で、頭の中は、灰色の色情で、埋め尽くされる。性愛について、語ることを、ためらわない大人で、ありたい。僕は、たまたま、ゲイという属性を有していた。それに、ついて、なにか特別なことはない。ただ、誰しもが通るように、自分の、知らなかった自分を発見しては、とまどい、ときには、泣いてばかりいた。

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 どんな小説でも、愛はすばらしいと、直接的に言葉にしない。ときにそれは、強固なものとして、前置きされる。人生のなかで学ぶ、大きな意味のなかに、それは、ある。複雑な感情を、言語化して、だれかに届けたいと思う。だけど、やっぱり、全部を表現しきれない。だけど、それで、いい。その、世界に顔を出さなかった気持ちに、愛が存在する。文面に並ばなかった行間に、価値が含まれる。それが、あなたさえも、巻込んでいく。その風は、美しいのだ。

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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