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映画レビュー

024 「女の子ものがたり」(2009)

<基本情報>
「毎日かあさん」など、ユーモア溢れる作風で知られる、西原理恵子の自叙伝的作品を、映画化。
監督は、森岡利行が務める。
主人公の子ども時代を、森迫永依、高校生時代を、大後寿々花、大人になったグータラ漫画家を、深津絵里が、それぞれ演じる。

 女の子が、生きていく道。それを、想像する。夢や、希望に溢れているかもしれない。苦難や、絶望が、待っているかもしれない。たぶん、僕が、男性として歩んできた、人生とは違うんだと思う。男社会と、よく耳にする。まるで、男が中心になって、世界がまわっているかのような、感覚。知らず知らずのうちに、手にしている特権。それを、横目に、必死で、幸せになろうとする彼女たち。男女平等という理念が、唱われて、どれくらい経つんだろう。

 フェミニズムについて、議論されるとき、男の意見と、女の意見が対立するのって、くだらない。たぶん、いつも男性が優位に立つから、私も男になりたいと思っているのが、フェミニストじゃない。女性が、女性のまま、自分らしくいきていける社会を目指すのが、しっくりくる。男が、女性を性的にみる個人の欲望なんて、どうでもいい。男が、考えなければならないことは、思いもよらぬ場面で、性的に消費されることの嫌悪だと思う。

 本作は、人生に行き詰まった女性が、生い立ちを振り返り、そこで出会った友だちのことについて、回顧していく。たぶん、押し殺した感情が、いくどとなく、溜まっていたんだと思う。だから、昔を思い出すことによって、自分が何に怒り、何に幸せを感じていたのかが、明確になっていく。私の思いなど、だれも興味を示さないと思わされ、社会の隅っこに、いつのまにか、追いやられていく。でも、それでも、女性は、声をあげていくべきだ。たとえ、それが、波風をたてるようなことであっても。

 女性が蔑視されているなら、改めなければならない。女性が、生きにくい社会なら、変えていかなければならない。言葉にできないけど、私達は、たしかに排除されている。それでも、強く、逞しく、麗しく、生きていく少女らの姿が、描き出されている。きれいなことばかりではない。貧困や暴力が、往々としてある。男って、馬鹿だなと思う。自分の、どうしよもない部分を、受け入れていく。どちらにしろ、人生は、荒れ狂う、荒野だ。だけど、闘う意志を捨てない、あなたは、きっと幸せになれる。

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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