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思考

記憶の残滓

 社会が、変動していく。それは、べつに、ここに限ったことじゃない。世界が、急速に、しぼんだり、膨れ上がったりしている。価値観が、多様化していき、制度やしくみが、新しくなっていく。たぶん、その根っこにあるのは、個人が、自由になろうとする意志だ。僕らは、自分を縛るものを、遠ざけ、選択できる権利を主張してきた。その結果、ありとあらゆるものが、流動化していく。 

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・声をあげる
 芸能人が、政治の話をすると、煙たがられるという風土は、本当にださい。これから、国を、どんなふうにしていくのかを、議論するのに、いろんな知識はあったほうがいいかもしれない。(そもそも芸事をしているからといって、知識がないとすることじたい、ナンセンスだ。)言いたいことを、言えばいい。間違ったら、出直せばいい。もし、あなたは、政治について、なにも理解していないのだからと言って、自分とは、そぐわない意見を封じ込めようするなら、それこそ、間違っている。
 たぶん、次の世代に、何を残していくべきかという視点が、欠けている。いまの子どもたちが、大人になったとき、こんな社会だったら、生きにくいよねっていう部分を、変えていけばいい。なのに、今の政財界のトップの多くは、利権にぶらさがって、富を吸い尽くそうとしているみたいだ。権威に、いつまでも、ひれ伏す民衆を、演じるのも、飽いている。だから、声を、あげるべきだ。

・無常
 なんで、そんなに、怒っているんだろう。容赦ない言葉が、弱者に、向けられる。たぶん、満たされないと感じる、マジョリティーの叫びと、僕は思っている。自分とは、立場がちがう人間を、受け入れることができず、排除していく。変わっていく情勢に、なす術もない。だけど、無常に逆らうことはできない。一切のことは、生まれては、消えていく。
 ひとりひとりが、抱えるバックボーンは違う。生まれ育ってきた環境も、異なる。だけど、人は、何かしら、過去に執着している。忘れられない出来事について、言葉にしようとしても、ままならない。そして、伝える術を探すように、生きて、十分に語ることのできないまま、死んでいくのだ。
 
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 家族で過ごした、断片的な思い出が、記憶の残滓として、眠っている。それは、大人になった今も、大きな塊になって、僕という存在の柱として、機能している。時が進むにつれ、以前よりも増して、自分を形成する要素について、考えるようになった。ただ、それは、年老いた人間になっただけなのかもしれないけど。

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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