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映画レビュー

001 「パーマネント野ばら」(2010)

 例えば、女の子がうずくまって泣いている。少女から大人へと変化する時期の、彼女たちの憂鬱を、僕は、思い知ることはできない。およばぬ場面で、性的な対象として、見られることだって、遭ったかもしれない。ここで、フェミニズムについて、語ろうとは思っていない。ただ、女性の人生において、自分たちの力では、どうすることもできない苦難がある。それに、立ち向かわなければならないことを想像できない社会は、いささか生きにくいのではないか。

 なぜ、涙を流しているのと聞くこと自体、ナンセンスだ。社会で渦巻く憎悪や嫉妬や偏見が、思いもよらず、個人を傷つけてしまう場合がある。言葉にできない思いについて、語らなければ、その傷跡さえ、なきものにされてしまう現状を、変える手だてはあるはずだ。だから、だれかが声をあげるべきなんだと思う。それが、映画としての表現だっだとしても。

 この物語は、海辺の街で営まれる美容室が、舞台となっている。そこに集まる女性たちの恋愛は、決して綺麗ごとだけでは語れない人間味で溢れている。本当の意味での他人を愛するという醜さだったり、愚かさを、細かく描写し、観る人にとって、不思議な共感をうむ。誰かを思い続けなければ、正常を保っていられない彼女は、きっとまた、強くなれる。それを、証明してくれる映画であることは、間違いない。

 まず、邦画と洋画という区別がある。どちらを好むかは、それぞれだ。初めてのレビューで、どの作品にしようか、迷ったんだけど、やっぱり好きな映画にしようと思い、この作品にしました。洋画で観るような、派手なアクションだったり、壮大なスケールの世界観ではないけど、邦画にも優れた力作があるんだと、知って欲しいです。

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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