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思考

別れ

 みんなが、自分を、主人公にした、物語の中を、歩いている。街では、お互い知らない者同士が、そしらぬ顔で、それぞれの、目的地に向かって、進んでいく。けれども、人は、ときに、受け入れ合い、強い絆を結ぶときがある。それは、生まれる前から、決まっていたように、自然と発生するようなもので、運命めいたものを感じる。

 それでも、別れは、いずれやってくる。別れは、今まで、知らなかった、大事なことを、気づかせてくれる。隣にいてくれることが、当たり前だった人の、ありがたみや、その価値、貴重さを悟る時期がくる。すべてが、時の流れに、消えてしまったわけじゃない。

 時々、心の一部分が、欠けてしまったような感覚に、陥るときがある。頭のねじが、一本はずれたみたいに、上手く機能しない。すべてのことに、無関心になる。そんなときは、思い出す。あのころは、何かを、強く信じていたし、何かを、強く信じることのできる、自分を持っていたことを。そんな思いが、そのままどこかに、虚しく、消えてしまうことはないから。

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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