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日常・コラム・エッセイ

一度、無理してしまった君には

 空腹が、僕を、覚醒へと誘う。いったい、何が、こんなにも渇きを、連れてくるのだろう。生きている実感が、欲しいから、とりあえず、飢えを、持て余す。スーパーに並ぶ食料をみて、思う。いざとなれば、ところかまわず、これを、食べればいい。だけど、それは、お金という、よくわからない紙切れを、差し出すことでしか、手に入らない。たとえ、どんなに、腹ぺこでも。

 権力で、だれかを抑制しようとする。昔からある、とくに、珍しくもない、風景。だけど、その支配力が、自分には、わからない。統率される側と、する側の、人間の、どこが、違うのか。意のままに、他者を操作することで、優越感を、覚えるなら、それは、正直に、言うべきだろう。従わない者は、社会から排除しますと。もし、僕みたいな人間ばかりだと、戦争はおきない。そんな風に、思う。そんな世界は、とてつもなく、つまらないけれど。

 一度、無理してしまった君には、この世界を、たやすく、生きていくことができる。進んでは、いけない方向が、あなたには、分かっている。何を、欲しているのかを、明確に、認識できる。そんなお前は、変わっていると、友人は、言うだろう。だけど、それでいい。幸せを、追い求めることに疲れたんだよ、だって、今の僕を、みてくれよ、こんなにも、満たされている心が、ここにある。

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思考

また、お腹がすく

 自分の声が、かきけされていく。世界は、雑念で、あふれ、すじのとおった正義は、片隅のほうで、知らん顔をしている。人知れず、顔を埋めて、すすり泣く子どもの、痛み、絶望、乾き。愛されたいという、叶わぬ願望が、社会のなかに、輪郭を現しては、滲んでいく。澱みのない、不安定なアイデンティティーを、大人たちは、いつまで、無視し続けるんだろう。

      ★      ★      ★

・お前は、お前だから
 なにくわぬ顔で、人生の階段を、駆け上っていく友だちを、横目に、ひとり、立ちすくむ。べつに、就職や、結婚だけが、すべてじゃない。むしろ、分かりやすい幸福の形を、追い求めることは、愚かだとさえ、思う。でも、なにひとつ、うまく、できるようにならない僕を、責める傾向は、おさまらない。本質的な、不器用であることの理由を、ずっと、問い続けている。
 そんな、お前で、いいんだよという、優しさをエサに、太っていく自分は、醜い。だって、たとえ、出来損ないだとしても、自分を許したり、なんなら、いい給料を貰うことを、望んだりするんだから。それが、人間っぽくて、美しい。

・他人の言葉
 どうして、言葉を、熱望するんだろう。生きづらさを、抱えながら、どうにか、こうにか、人生をやっていく術が、そこに、隠されている。時代は、違えど、複雑な風景を、前にして、自分の、居場所を、確立していく、彼らがいた。その過程を、垣間みれる、表現との出会いは、合理性を、追い越して、感情を、ゆさぶってくる。

     ★     ★     ★

 どうしたって、また、お腹がすく。エネルギーを摂取しなければ、死んでしまう。それが一応、ルールとして、ある。どうして、人間は、光合成できないんだろう。他の命を、殺してしまわなければ、生きていけない、罪やトラウマは、虚しく、心の何処かに、居座っている。

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思考

肥えても、なお

 自分を、表現しようとする。はたして、その自分とは、何者なのか。大学を、でて、フリーターになる。そんなやつは、どこにでもいる。その集団において、僕は、なにか、特別なものを、持っているのか。どこが、他人と違っているのかを、模索する。いわゆる、差異化である。
 ところで、自分は、なにか、他者とは違う特性があると自負する、人間の、愚かさを、目の当たりにする。それは、努力によって、手にはいるものなのか。人生なんて、ある意味、自分の存在の非意味を、知っていくことに、他ならない。なんの意味もない自分。だけど、愛おしい、自分。いわゆる、僕は、くそな大人だということに、すぎないのである。

    ★     ★     ★

・みんなが知っている類いのこと
 王道とか、スタンダード、一般的なこと。いわゆる、みんなが知っていて、はずれのない事柄。はじめのイントロだけで、誰が歌っていて、サビの歌詞まで口ずさめる曲。それを、聞いているときに、感じる、安心感。僕は、流行に乗っているとでも、思いたいのだろうか。たまに、毒っ気のある、あくの強いものが、欲しくなる。誰にも、知られることのなかった、ゴミ扱いされた、がらくたな言葉たち。そこの落ちている、頭のおかしい宝物。そういうものを、僕は、愛していきたい。

・自由を奪われる快楽
 世界は、複雑なのだ。人間にしても、景色にしても、思想にしても。選択肢が、多いことは、可能性に満ちているといえる。でも、それだけ。そこから先に、幸せが、訪れることと、同意ではない。いっそのこと、僕が、いま、保持している自由を、奪ってほしい。縛られることのない命は、どこか、寂しい。でも、人間は、愚かだから、一瞬の快楽を得ても、また、やっぱり、自由を、求めるんだろう。

      ★     ★     ★

 肥えても、なお、ふくれあがる、欲望のかずかず。その在り方を、明らかにしよう。だって、他者の身体に、欲情する気持ちも、美味いものを貪りくらう食欲も、本当に、誰しもが持っているのかさえ、分からないんだもの。自慰行為をしない人間だっている。だから、この世界に、あたり前は、ない。この国のことしか、分からない僕は、これから、もっと、もっと、いろんなことを、知っていける。そのときに、感じる、まばゆいエクスタシーを、愛と呼ぶことにする。

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心情

挑発

男から、優しくされたい。
特別に、扱ってほしい。
寂しいから、そばにいてほしい。

それなら、媚びてみろよ。
上目遣いで、誘ってみろよ。
AV女優みたいに、喘いでみろよ。

躊躇ない、言葉たち。
たしかに、私の一部が、痛められた。
その傷跡の、奥底を、掘り下げていく。

たぶん、その場所に、あなたの尊厳が、ある。
誰にも、けなしてほしくない、誇り。
私が、私であり続ける、証。

でも、男たちは、平気で、土足で、踏み込んでくる。
所詮、お前は、お前でしかないと、言うように。
だから、あなたは、声を、あげるべきだ。

女性で、あり続けること。
その、覚悟と、決意。
目の前の世界は、ただ、あなたらしくいることを、待ち望んでいる。

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思考

有限を知らなければ、自由になんて、なれない

 ここに、文章をかくことは、僕の、思う通りのままだ。何を、記そうが、何を、隠そうが、ありのままを、表現していく。だけど、もし、それ以前に、自分の、階層だったり、ジェンダーだったりが、内容に、影響していると、仮定する。それは、まあ、なくもない。だって、頭のなかで、繰り広げられる、思考や、考えは、すべて、生まれ育ってきた、環境と、密接に、つながっているから。どうやら、僕たちは、しらずのうちに、この世界に、閉じこめられてしまったらしい。

       ★     ★     ★

・自分の見つけ方
 路上で暮らす人。彼らを、横目に、家路につく。どうやら、今日の寝床に、困ることは、なさそうだ。そうやって、他者と、比較することことで、自分の立ち位置を、確認する。それ以外に、自分を、知る方法は、ない。本当の自分とか、本質的な自我というものは、はじめから、諦めてしまう。心とか、気持ちとか、あやふやな、それらは、結局、内部のことなのだ。外側に、表出されなかった、断片的な感情は、ゼロに等しい。空気に、ふれた瞬間、言葉たちは、鮮やかに、色づいていく。

・準備は、できている
 男としての、自分。なんの意味も、もたない権力。不均衡な、パワーバランス。例えば、女性が、意志決定の場に、いることは、ふさわしくないと、少しでも、よぎってしまうなら、それは、かえていかなければならないことの、ひとつだ。男性が、背負っている、重圧。何なら、今すぐ、それを、手放してしまえばいい。責任とか、使命なんて、いうものは、呪いにちかい、産物だ。そして、もし、誰かが、役目を、果たさなければ、ならない場合、あるいは、その順番が、女性であったなら、彼女たちは、こう、いうべきだろう。「私達の、準備は、できている。」

     ★     ★     ★

 なんでも、手に入る。どんな、自分にでも、なれる。ただ、そこに、あるのは、きっと、空虚にちがいない。僕らは、少なからず、社会の構造に、縛られている。(あるいは、性別や、国籍や、年齢と言ってもいい。)でも、だからこそ、「解放」という、瑞々しく、きらびやかな、人生に、出会うことができる。有限を、認知することで、手にする、自由。たぶん、それは、くそみたいな現実に、対峙する、手助けになる。僕が、僕でいる、理由は、きっと、もう、すでに、受けとってきた贈与の中に、存在している。

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思考

神の死

 この社会で、起きていることを、明確にしようとする。その方法は、多くある。どれも、的外れかも、しれない。結局は、断片的なデータを、積み重ねて、全体を見通して、普遍化なり、一般化をしていく。だとしたら、僕らは、今、何を知り、何を、知らないんだろう。歴史を辿ってみることで、輪郭をあらわす、現代。この世界は、果てしなく、混沌としているみたいだ。

      ★     ★     ★

・やられっぱなし
 悪者は、だれなんだろう。分断をあおり、差別を助長する、トランプなのか。資本を独占する、大企業なのか。あるいは、職場で、嫌みばかり言う、上司なんだろうか。どこに、批判を、ぶつけても、あまり、しっくりこない。どれも、ただに、ひとつのパーツに、すぎないからだ。問題は、全体を、取り囲む構造に、ある。意図しないけれど、システムの中に、いるかぎり、支配する側と、される側に、わかれる。たとえば、労働者階級の、僕らは、闘争という言葉を、忘れてしまい、やられっぱなしに、なっていないか。

・バイオレンス
 雇われて、働いて、賃金をもらう。嫌でも、そうしないと、生きていけないからだ。「おまえを使わなくても、代えは、いくらでもいる。」そう言って、金持ち階級は、資本を増大させるために、限界まで、人件費を削る。本来なら、働いた分の、同等の価値を、貰えるはずだ。だけど、同じことをしているのに、自分の労働力が、安く、買いたたかれる。まるで、希釈された、暴力みたいだ。僕の、価値って?もし、市場で、値がつかなくても、もとからある、誰にも汚されない、価値に、気付けたら。だけど、みんなが、知っているように、世界は、そう、甘くない。

   ★     ★     ★

 漠然とした、不安。言葉に、すれば、ただ、それだけ。だけど、それは、人生に、重く、のしかかってくる。ほんとうは、すべてのことが、死ぬまでの、退屈しのぎに、すぎない。それでも、深く、考え込んでしまう、真面目な、あなたに、伝えたいことを、述べてきた。「神は死んだ」と、ニーチェは、言い残した。それから、時は流れ、人間は、どこを、目指して、何を、手に入れたんだろう。もし、ここが、暗闇なら、あなたは、光の方へ、進んでいくべきだ。僕は、そう思う。

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思考

ノット・ギルティ

 都会の片隅で、ひっそりと、消えそうな灯火を頼りに、明日を待つ。目的なんてない。意味を、見出そうとする、意欲さえ、枯れ果ててしまった。もし、救いが、あるとするなら、まだ、誰も踏み入れていない領域を、侵す瞬間に、存在する、野望だ。七色の光に、包まれた、荒野は、ただ、まばゆい。
 辿り着いた場所は、何もない空白のくぼみだった。僕が、いま生きているところは、時間軸をも、越えてしまいそうだ。たとえ、息ができなくとも、もがきながら、歩く。助けを求めたけど、返事はない。
 
    ★    ★    ★

・自分から離れる
 いったい、どうして、生きづらいのか。こういう環境だから、仕方ない。周囲の人間が、嫌なやつばかりで、どうしようもない。貧乏で、希望を持つことさえ、ままならない。親が馬鹿だから。おうおうとしてある、ファクターは、時間とともに、自らに、はね返ってくる。本当は、ただ、ここにある、自分の存在が、疎ましいだけなんだ。そう、気付いたときに訪れる、死んでしまいたい衝動。けれど、あなたは、生きるべきだ。
 自分から離れることを、望むことは、悪ではないし、罪でもない。というか、本当は、娯楽も、欲望も、恋愛も、労働も、根幹にあるのは、自我の消滅を、望む声だと、僕は、思っている。自分が、無になる、刹那的な時間。それほど、心地いいものはない。

・「共同性」とは
 学校や、職場で、出会う人たち。それは、(僕にとって)絶対に、切り離せないものでは、ない。頻繁に、連絡することもない。地元に、縛られるという感覚への、不理解。そこが、つらいなら、どこか、ちがう場所に、行けばいいなどと、思ってしまう。けれど、家族だったり、友人だったり、その人間関係に依存しなければ、生きていけない現実も、ある。
 「共同性」という、言葉に、ひっかかる。それって一体、どんな意味なんだろう。たぶん、それは、秩序を保つための、道具なんだと思う。みんなと違う行為や、他人の尊厳を傷つける行いを、してはいけない。社会化されていくことに、なんの、疑問を抱かないなら、それでいい。だけど、まともな、礼儀正しい振る舞いが、できない人間を、コミュニティから、排除していく。そこに、問題が、ある。

    ★    ★    ★

 いっそのこと、自分は、一人で生きて、一人で死んでいけますということを、明言できたら、楽なんじゃないか。そういう人生も、ありなんじゃないかという、可能性を、捨てない。許容できる範囲を、拡げていく。価値観が、多様になる。もし、知というものが、あるなら、それは、今に、絶望している人のために、使われるものだと、僕は、思っている。

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映画レビュー

047 「Mommy マミー」(2015)

<基本情報>
2014年、カナダ発。
第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に、出品され、審査員特別賞を受賞。
自身も俳優として活躍する、グザビエ・ドランが、監督を務める。
現在、同監督作品「マティアス&マキシム」が、公開中。

 ADHA(多動性障害)のある、青年が、登場する。その病気についてのすべてを、語ろうとするのは、たぶん、映画の役目じゃない。たぶん、障がいを、テーマにするならば、ナイーブにもなるし、繊細な描写が、必要になる。観る人に、誤解を与える表現は、避けるべきだ。いわゆる、健常者が、期待するようなエンタメに変容させ、それを消費する形は、誰しもが、望んでいない。けれど、架空の物語の中に、発達障がいに、向き合い、必死に未来を掴もうとする、彼らがいたことは、深く、観客の心に、刻まれる。そんなストーリーに、仕上がっている。

 その主人公である、15歳のスティーブを演じるのが、アントワン=オリビエ・ピエンだ。僕は、あまり、キャストのルックスに、魅せられることは、ない。それよりも、今までみたことのないような、稀な人間性や、オリジナリティーを、期待する。けれど、この作品は、やはり、彼の表情だったり、しぐさの、ひとつひとつが、キャラクターと、調和していく様子に、目がいってしまう。それくらい、見た目が、主張し、みずみずしさと、危うさを、併せ持つ、スティーブの、魅力につながっていく。

 そして、この作品の要になるのが、ドラン監督による、映像や音楽への、こだわりである。画面のサイズが、いつもと違う感じがする。終始、1対1の正方形の画角で、物語は、進んでいく。だけど、場面によって、縦横の比率が、変化していく。その演出が、スケールの大きい世界観をうみだし、開放感と、ダイナミックな意識の波を、もたらす。劇中に使われるカウンティング・クロウズの「Colorblind」という曲が流れるシーンが、印象的。ポップさと、苦境にたつ母と息子の、相反する景色から、鮮やかに、繰り出される愛は、観ていて、飽きない。

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思考

野蛮なことに、立ち向かう

 僕が、何を考えているのかが、つつぬけになるとき、それは、世界と、自分が、混ざりあう瞬間だ。欲望も、傲慢も、知性も、すべてが、溶けて、にじみ出てくる様は、滑稽で、それでいて、美しい。それでも、本当の、奥底にある、自我(みたいなもの)は、他人に、さらけ出さず、隠して生きている気がする。孤独を包む牢獄を、開く術をもたない者ほど、人生は、深みを、帯びていく。

     ★      ★      ★

・内側と外側
 ここに、文章を、つづる。それは、いっけんして、僕の内部について、語っているのかもしれない。心の動きや、感情の波を、観察しながら、湧き出てくる言葉たちに、寄り添う。でも、よくよく考えてみると、その作業は、外側の世界を、必ず、反映しているのだ。いま、目に映る景色、複雑な社会、薄っぺらい世相、その全てが、フィルターを通して、再び、構成されていく。つなぎあわされた二つの領域は、加速度的に、変化していく。そうやって、ひっそりと営み続けてきた、生き物は、はかない夢を見る。やがて、滅びゆく定めを、受け入れることは、そう、難しくはない。

・望みを叶えること
 将来、こうしたいという、願望を、抱く。それを、追いかけながら、努力していくことの、全てが悪いとは、思わない。だけど、あるとき、冷静になって、立ち止まる。まだ、歩み始めたばかりの自分が、思い描いていた未来に、振り回されるのが、阿呆らしくなる。望みを叶えることに、執着しなくていい。むしろ、あのとき、死ぬほど、手に入れたいと思っていたものが、実は、たいして、欲しくないものに、変容していく。人生なんて、そんなものだ。

    ★      ★      ★

 結局、僕が、これまで一貫して、思考してきたのは、「命の価値」についてなんだと思う。もう、気付いてるかもしれないけど、社会は、不躾に、あなたの価値を、決めようとしてくる。例えば、ホームレスのおっちゃんが、ひとり路上で死んでいく。それは、ただ、それだけの最後を、迎えることしかできない人間だからなんだと、決めつけるみたいに。裕福な生活をするのは、それに値する者だけで、いい。
 べつに、底辺で暮らしていたからって、孤独死をしようと、その人の価値を、他人が決めることは、できない。何が、その人にとって、幸せだったのかは、分からない。じつは、こうして、普通であることに、憧れ、規範から逸脱することを恐れながら、のうのうと生きる、僕なんかより、はるかに豊かな人生だったかもしれない。

・最後に
 僕は、そんな、くそみたいな世界に、ざまーみろって、言いたい。権力の側にいる人が、羨ましくなるくらいに、他の人には、分からない、自分だけの幸福を、みつめながら、しれっと、生きぬいてやりましょう。それが、唯一の、野蛮な考えに対する、抵抗なのだ。

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思考

渦を巻く貝殻

 いま、僕が、世界を感じているふうなこととは、まったく違うように、だれかがこの世界を、感じている。どうせ、お互いが分かりあうなんてことは、できないのだからと、平行線をたどる。結局は、生き方の対立だから、そこに正解はない。それなのに、どうして、こんなにも、他者を必要とする、自分がいるんだろう。くそみたいな社会に、怒りを覚えると同時に、そこでしか生きられないことが、重く、のしかかってくる。

     ★    ★    ★

・くだらないこと
 たとえば、女性が、性について、オープンに語ることを、よろしくないという風潮があるとする。そのルールを世界が、黙認している。だから、革命を起こそう。だけど、空っぽ頭の男は、こう言うだろう。「それなら、俺とセックスをしよう。」それを、先読みしているから、私達は、声を上げることができない。言いたいことを、心に押さえつけて、抑圧されながら、過ごす日々を、もう、終わらせよう。
 だから、あなたは、こう言うべきだ。あるいは、アダルトビデオにでてくる女性たちの、快楽に浸る姿は、女性の、一部分かもしれない。だけど、その一面をみせる相手は、お前ではない。お互いを、尊重できること、対等に、向き合えること、そんなあたり前のことが成立したうえで、関係は、保たれる。女性は、ただの性欲のはけ口ではない。都合のいい存在でもない。自分の意見を言うことを、ためらわなければならない瞬間は、とてつもなく、くだらない。

・深海に沈むもの
 僕は、社会というものは、生きやすいように、変えていかなければならないと、心底、考えてきた。だけど、全員が、そう思っているわけではないんだなと、最近、知った。現状を維持しようとする人が、一定数いる。少なくとも、それに、異議を唱える行為を、ないがしろにしたくない。男性が、持っている特権や、マジョリティーが決めた規範が、支配する世界に、抵抗する。
 いつからか、つねに、なにかしらの答えを、探しているような気がする。不安や、孤独から、解き放たれた人間は、次に何を望むんだろう。これまで、見つけてきた解答が、邪魔になる。だから、それを、捨てる。そして、また彷徨う。その繰り返しのうちに、人生は幕を、おろす。それならば、自由という、途方もない、宇宙の果てみたいな、不確かなものは、いっそのこと、深海に沈めばいい。

      ★    ★    ★

 気付けば、思考の渦に、いる。中心に向かって、強い流れのまま、勢いを増して、突き進むそれは、まるで、螺旋状の貝殻だ。そこで、息をするのは、困難を極める。僕は、こらえるように、そこに、自分の意志で、居続けること選択する。そのとき、考えなければいけないことなのかは、分からない。でも、たしかに、僕の頭の中で、めぐる、戯言は、こうして、ひとつの形になって、発信される。問題意識や、社会への関心を、失いたくない。なんだかんだいって、この世界が、好きなんだ。