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日常・コラム・エッセイ

象みたいに進む、あるいは子どもらしく笑う

 昨日はパートナーの誕生日をお祝いして、少し豪華なディナーを頂きました。普段は本当にしょうもないことしか話さない。些細なことで大笑いする僕らは、ただの平和の使者か。今日くらいは真面目な話をしようと、同棲して約1年を経てのそれぞれの感想を言い合った。生活のこと、仕事への向き合い方、お互いの時間、孤独への対処法。理解し合いたいとは思わない。彼は彼で、僕は僕だからだ。

 仕事での失敗を誰かに話すのが怖かった。自分がうまく社会をやれない部分を曝け出すみたいで。これまでは、どうにかこうにか1人でやってきたんだと思う。生き残るための多少の知恵はある。不完全すぎる僕を、あるいは世界に反抗的な不純を、共有する。たいそれたことではない。へこんだ気持ちを言葉にして彼に伝える。それは考えていた以上に、心を軽くした。

 男2人の暮らしは、そんな華やかなものじゃない。きらきらした幸せばかりが転がっているものでもない。まして、そこに正解や答えがあるわけじゃない。でも、不寛容で厳しい風が吹き荒れるこの国の片隅で、地に足をつけながら慎ましく寄り添いながら生きる私たちがいることを、伝えなければいけない。ゲイ・セクシュアリティを、あるいは様々な愛の形を遠ざけようとする世の中だから。

 意地悪な固定観念を乗り越えるために。どうでもいい外野の声で、怖気付いている場合ではない。もうすぐ夏が来る。季節が動くごとに生まれ変わっているみたいだ。壊れてしまったブレーキを携えたように、あるいは止まり方を忘れた象みたいに。とりあえず時間を進めよう。ここから見える景色は決して間違いじゃない。僕はもう、子どもらしく笑う。今までの遅れを取り戻して、始まりを告げる鐘を鳴らせ。

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作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

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