カテゴリー
思考

途切れない<私>

 銀行に、電気代を振り込みにいかなきゃいけない。コロナのワクチンを、接種しにいかなきゃならない。夕飯の材料を買うために、スーパーによらなきゃいけない。僕らは、たえず用事におわれている。そこまでして、いったい何を守りたいんだろう。国家だろうか。秩序だろうか。習慣だろうか。いずれにしろ、なにかをしていないと、正気を保っていられないのは、なんだか、檻に入れられた虎が、ずっと歩き回っているみたいに見える。でも、僕らは、かごの中に、閉じ込められているわけじゃない。自我という牢獄を、突き破れ。そこに、本当の自由がある。

   ★   ★   ★

・あなたに会いたい
 自分を律するのに、ひどく疲れた。社会を生き抜くために、仮面をかぶる。ほら、やっぱり、お前は、まだ、大人になれない未熟者ではないかという声に怯え、あたかも、慣れたように、受け応えをする。今日も、お疲れという言葉を、かけてくれる人と僕は、仕事をしたい。他人は、言うだろう。そんなに、この社会は、生きづらいのか。そこまでして、なににすがりついているんだ。嫌なら、ここを去ればいい。
 どこまでいっても、不器用な自分。周囲の人は、なんだか、うまく立ち回る術に長けているみたいだ。なにか、失敗をしたとき、僕の全てが、暴かれてしまいそうな感覚。今まで、築きあげた関係性は、無視され、なんだか、排除されるような、心境。もう、傷つくのは、嫌だから、僕は、ここに留まる。思考を研ぎ澄まし、言葉を綴る。さて、どうして、ここは、限りなく孤独なんだろう。ただ、同じように生きているあなたに、会いたいだけなのに。

・複雑なものが、世界を多様にする
 自分を理解してくれるのは、自分だけだ。あるいは、それは、神なのか。心の声を、聞いてくれる存在にすがりたい。共感してほしいとか、思い遣ってほしいとは、ちょっとちがう。ここにある自己と同化するような他者を、追い求める。心の深いところにある、本心をえぐりとって、そのまま、差し出したい。そんなときに、人は、祈りを、捧げるんじゃないだろうか。
 よく分からないウイルスが、流行し、ロシアが、他国に侵攻している。世界は、なんて、単純なんだろう。僕のことなんて、まるで、いないように、社会が、ひとりでに動いていく。そりゃそうだろう。お前のことなんて、気にしていたら、きりがない。何十億という人間が、生活をしている。ひとりひとりの意思を尊重することに、なんの意味があるんだ。僕は、そうやって、複雑なものを、シンプルにしか捉えられない考え方に、危険性を感じている。複雑なものを、そのまま受け止める。それが、多様性をうむと思っているのだ。

   ★   ★   ★

 歴史の見方は、それぞれだから。プーチンみたいな考え方を、支持する人もいる。あるいは、過去の他国を侵略した事実を、鵜呑みにできない人もいる。問題は、自分と同じような意見を持たない人を、攻撃するような姿勢にある。あるいは、頭が空っぽだと、罵る。そこで、僕は、どんな態度で、立ち向かうんだろう。それを、たえず、考えている。その時に、必要になってくるのが、決して、知性をおろそかにしないことだ。たえず、積み重ねてきた叡智を軽んじない、途切れない<私>が、ここにいる。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ゲイ(ノンアダルト)へ
にほんブログ村 にほんブログ村 就職バイトブログ アルバイトへ
にほんブログ村

作成者: 木下 拓也

1987年、大阪生まれ。ライター志望。
兵庫の大学を卒業してから、フリーターとして働いています。
セクシュアリティーは、人生を豊かにすると信じる人間です。
書いて、伝えることを大切にしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です